
2人の娘を育てる家族が、準備期間わずか5ヶ月で長女の小学校受験を成功させた裏側を紹介するこの連載企画。vol.2では、塾に通い始めてからのリアルな1週間のスケジュールと、家庭での工夫、そして受験期ならではの葛藤や乗り越え方について、実体験をもとにお伝えします。
平日は週2〜3回通塾。直前期には週3〜4日に増え、週末もどちらか1日は10時頃から夕方まで授業が入る生活に。試験直前は、土日いずれも授業や面接準備も入り、ほぼ毎週末が受験モード。気づけば、「塾中心に予定を組む生活」に。試験直前は、気分や体調に合わせて、自宅学習の代わりに登園前にカフェで朝食をとりながらモーニング学習をする日も増えていきました。
5:00 起床。家事をしながら保育園・塾の準備を済ませる
7:00 娘とパパが起床
7:00〜8:00 朝学習(前半ママ塾、後半パパ塾)
8:30 登園
14:00 お迎え
15:00〜17:00 塾(移動時間含む)
18:00 帰宅
21:00 就寝
塾の掛け持ちや長距離通塾など負担が大きい時は、夫や家族と連携。「母ひとりで抱えない」体制をつくったことが、長期戦を乗り切る大きな支えになりました。
塾の授業に同席し、先生の関わりや子どもの苦手を把握。塾任せにせず家庭学習に活かすことで、学習の質が向上。最近ではオンライン見学ができる塾も増えているため、こうした機会があるかどうかも塾選びの重要な視点です。
帰宅後はすぐ夕食、夜は子どもと一緒に就寝。日々の予定はテトリスのように詰まり、正直かなり疲弊していました。それでも、朝5時に起きて家事を先に終わらせ、ストレッチで体を整え、その日の段取りを書き出す時間を確保。この“自分を整える習慣”があったからこそ、気持ちをリセットし、安定して子どもと向き合うことができました。
また、外食のあとにそのまま温泉施設に立ち寄ったり、当時夢中になっていたキックボードをしに行ったりと、受験前から大切にしていた娘たちの「やりたいこと」も、合間を見ながらできるだけ続けるようにしていました。ラスト1ヶ月は、両日とも塾や模試が入ることもあったので、気分転換も兼ねて、カフェ学習が定番に。
〈土日どちらか1日〉
5:00 起床
7:00 娘とパパが起床
7:30〜8:30 ママとのモーニング学習
8:30〜9:00 帰宅・塾の準備
10:00〜17:00 通塾
・面接練習
・行動観察
・志望校対策
18:00 帰宅・軽く復習
20:30〜21:00 早めに就寝
〈もう片方の1日〉
・塾で習ったペーパーの復習
・子どもと一緒に献立作成から、買い出し、料理
・公園や外遊び、友達との食事などでリフレッシュ
・絵日記を書いて対話の時間
・春:基礎を一通り固める
・初夏:得意不得意と志望校の相性が見え始める
・夏:夏期講習で演習量を一気に増やし、スタミナと自信をつける
・秋:志望校対策と本番想定の仕上げ期間
私たちが通い始めたのは、ちょうど周囲が総仕上げに入ろうとしているタイミングで。かなり遅れをとってのスタートでしたが、娘はこの夏期講習で一気に力をつけ、自信もついていったように思います。
娘が楽しく続けられるよう、ペーパー学習はママ、制作や運動分野はパパ。と、自然と得意分野をそれぞれが受け持つ形で役割分担ができていきました。
受験準備はどうしても母親に負担が偏りがちですが、「家族でやる」と決めていたからこそ、この分担が大きな支えになりました。何より父娘の新しいリズムが生まれ、この朝時間が毎日の大切なコミュニケーションになっていたように思います。
それまでは、朝ごはんの準備ができるまでテレビを見たり、それぞれ好きなことをして過ごすのが日常でしたが、受験をきっかけに朝学習が習慣になり、家族で同じ時間を共有することが増えていきました。
こうした変化を通して気づいたのは、大人が一緒に関わる時間をつくれば、スマホやテレビに頼らなくても楽しく過ごせるのだということでした。わかっていたつもりでも忙しさを理由に、どこかで自分たちの都合を優先してしまっていたことにも気づかされました。これは私たちにとっても大きな学びのひとつでした。
夏期講習が始まる頃、ようやく基礎が入ってきたタイミングで一気に演習量が増え、「このペースで詰め込んで、メンタルや体力は大丈夫なのだろうか」と、正直不安も大きかったのを覚えています。そんな中、塾の先生から「今は頑張りどきですね」と背中を押してもらい、私たちも腹をくくりました。ただ送り出すのではなく、家族で伴走するスタイルに切り替えよう、と決めました。
夏の後半には、娘自身にも変化が見えるようになっていきました。問題が解けることへの自信、授業への参加姿勢、そして周囲のお友達との関わり方も、どこか頼もしくなっていきました。先生やほかのお母さんからも、「表情が変わりましたね」と声をかけてもらうことが増え、周りのお友達にも良い刺激を与える存在になっていったように思います。気づけば、最初に抱えていた不安は、「このままいけばきっと大丈夫」という安心と、娘への信頼に変わっていました。
もちろん、順調な日ばかりではありませんでした。夏期講習のある日、娘が「今日は行きたくない」と言ったことがありました。ただの気分なのか、本当に疲れているのか。その見極めが一番難しいところでした。
以前、先生から「休ませる勇気も持っていてください」と言われていたことを思い出し、その日は無理をせず、予定していた4コマのうち2コマだけ受けて帰ることにしました。正直、1コマずつ費用が発生するので迷いもありました。それでも、焦る気持ちよりも本人の様子を優先しようと決めました。
するとその夜、娘は熱を出しました。もしあのまま無理をさせていたら、もっと長引いていたかもしれません。常に授業に同席し、様子を見ていたからこそ気づけた小さな変化でした。受験は、ただ頑張ればいいわけではなく、「今日は休む」と決める勇気も必要なのだと、この時学びました。
夏は、子どもたちの心も身体も大きく成長する時期だと言われています。受験においても、この夏の過ごし方が大切だとよく耳にしました。それでも私たちは、「遊ぶときは思いきり遊ぶ」と決めていました。8月には1週間のハワイ旅行にも行きました。受験のために家族の時間をすべて削るのではなく、この夏も一度きりだから、家族の思い出も同じくらい大切にしようと考えたからです。
驚いたのは、旅行中にもかかわらず、娘自身が「ペーパーやりたい」と言ってきたことでした。毎日の積み重ねが、いつの間にか娘の中で習慣になり、自分の目標としても根づいていたのだと気づかされました。結果として、この時間が娘にとっても、私たちにとっても良いリフレッシュになりました。
この5ヶ月は、親にとっても初めてのことの連続で、娘と一緒に悩み、学び続けた時間だったのだと思います。振り返れば、毎日のスケジュールに追われながらも、家族で同じ目標に向かい、支え合いながら進んだ時間は、かけがえのないものでした。
そして迎えた試験本番。結果が出るまでの時間、そしてすべてを終えたあとに残ったのは、合否だけではない、家族それぞれの中に生まれた確かな変化でした。
次回は、受験を終えた今、家族にどんな時間と気持ちが残ったのか、そしてこの経験が私たちに何をもたらしたのかを振り返ります。
この記事を書いたのは
杉浦真弓|Mayumi Sugiura
新卒で大手広告代理店に入社後、地方中小企業の創生事業に携わる。ウェディング事業の創業期に参画し、結婚式のプロデュース、営業統括、ブランドマネージャーを経験。その後、広報/PR会社の経営に従事。昨年、最愛の友との別れをきっかけに生き方を見つめ直し、現在は二児の母として家庭を軸にプロジェクト運営に携わる。日々の気づきや大切な記憶を言葉に綴っている。