
『映画 えんとつ町のプペル』の最新作として公開される『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』。インタビュー前編では、本作で製作総指揮・原作・脚本を務めた西野亮廣さんに、「待つこと」というテーマやご両親との関わりについてお話を伺いました。
西野さん:身の回りにあるものに物語があったら、毎日が少し楽しくなると思ったのがきっかけです。そこで、どこの家にもある“時計”に目を向けました。長針と短針って1日の中で何度も重なるんですが、実は11時台は一度も重ならないんです。次に重なるのは12時、鐘が鳴る瞬間。その“重ならない時間”って、何かを成し遂げる少し手前にある孤独な時間とすごく似ているし、みんなに共通することだなと思ったのが始まりです。
西野さん:はい。22歳の時、梶原君が精神的な病気で失踪してしまったことがあるんです。事務所からはソロでの活動を勧められたけど、梶原君が帰ってくる場所がなくなっちゃうなと思って待つことにしたんです。戻ってくるか分からない人を待つってめちゃくちゃ難しかったんですけど、そのおかげで今の二人がある。
子育てでも“待つ”って必ずあるじゃないですか。僕自身、子どもの頃は勉強が全然できなくて、中学2年生くらいまでは成績が学年で下から5番目くらいでした。テスト受けていない人もいたので、ほぼビリです(笑)。でも親に怒られたことは一度もなかったんです。テストの点数で叱られることもなくて、むしろ絵を描くとすごく褒めてくれました。ずっと自分のことを信じて待ってくれていたんだと思います。
西野さん:そうなんですよね。心配だから言いたくなるし、早くできるようになってほしいと思う。でも、もしあの時にガミガミ言われていたら、僕はたぶん反発してやらなかったと思います。
高校進学を考えた時に、今の成績だと私立しか入れない。だけど私立だとたくさんお金がかかっちゃうってなった時に、“これ以上迷惑かけられないぞ”って気合が入りました。子育てや教育において、待つって難しいけれど、めちゃくちゃ必要なんだろうなと思います。
僕が好きなアフリカのことわざに、「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければみんなで行け」という言葉があります 。早く行きたければ家族もチームも持たずに一人で走ればいいんですよね。だけど、なんで僕はコンビやチームを組んだのかって考えた時、多分一人では辿り着けないところに行きたかったんだと思うんです。
進むスピードはそれぞれ違うわけだから、どっちかは待たなきゃいけない。 待って、待って、その時は多少イライラすることもあります。だけど、3年後にその子が急に伸びてきて自分たちが救われることもたくさんある。やっぱり「待つ」ことは大事だなと思います。
――待つこと、信じること、そして楽しむこと。どれもシンプルなようでいて、実はとても難しいもの。この作品は、子どもだけでなく、日々子育てに向き合う大人の心にもやさしく寄り添いながら、大切なことをそっと教えてくれます。ぜひ劇場で、家族みんなで笑って、涙してください。
後編では、チームづくりにおいて大切にしていることや、子どものうちに経験しておいた方が良いと思うことについて紹介します。
『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~ 』
2026年3月27日(金)全国公開
配給:東宝・CHIMNEY TOWN
©️西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会